過去の取材

アフマド・マフフーズ・ヌーフ氏
(アルジャジーラ・ドキュメンタリー最高経営者)
登壇挨拶

2018年4月14日 @アップリンク渋谷

※日本劇場公開に際し、マフフーズ氏が来日され、アップリンク渋谷で挨拶しました。

本日はご来場頂き、誠にありがとうございました。私はこの映画の監督ではなく、アルジャジーラ・ドキュメンタリーという製作会社の代表です。本来なら監督自身がこの場にいればよかったのですが、私が代わって映画の演出や製作に関するご質問にできる限りお答えしたいと思います。

ご覧いただいた映画『カーキ色の記憶』は、アルジャジーラ・ドキュメンタリーが製作に携わった映画の中でも重要なものの一つです。過去4年間にわたり様々な努力を尽くした上で、完成しました。

我々は昨今、監督主導のクリエイティブなドキュメンタリーの製作というものを重視しています。この映画は「物語り」(storytelling)という手法を用いた新たな試みであり、様々なシンボルやサインの中に監督の視点が織り込まれています。こうした手法により、直接的に政治を語る映画よりも効果的に観る側に訴えることができると考えました。この映画は世界各地の国際的な映画祭で上映され、様々な賞を受賞するなど高い評価を受けております。そして、今回日本で上映される運びとなりました。

一般的にメディアで伝えられるニュースは物事の背景や人物についてあまり深く追うことができません。しかしこの映画は、シリアの現状について芸術性の高い形でより明確な考えを伝えています。

日本は優れた文化や文明を持っていることから、この度日本で上映できて大変光栄です。メディアが機械的に伝えるニュースでは、複雑で根深い問題が省略や単純化されて伝えられがちですが、日本の皆様にはそういったニュースやステレオタイプではなく、遠く離れたアラブ世界で実際に何が起こっているのかをぜひ知って頂きたいです。

また我々は日本との協力関係を深める中で、ステレオタイプではない日本や真の文化をアラブ人に伝えるべく、日本に関する映画を製作したいとの思いを温めてきました。今回の上映をきっかけに、映画の製作を通じて日本とより深く長いお付き合いをしたいと考えています。

アルジャジーラ・ドキュメンタリーは日本のNHKやフジテレビと提携して、日本に関する数多くのコンテンツを配信しており、アラブの視聴者は日本の伝統や文化、慣習を知る機会を得ています。ですが、我々は日本の実像をアラブの視聴者に伝えるためにも、今後様々な日本の製作会社や監督と共に番組を製作できればと考えています。

アラブではよく言われることですが 、今回私が日本に行くと家族や友人に話すと、「別の惑星に行くんだね」と言われました。それはなぜでしょうか。我々アラブ人にとって日本は、偉大で重要な歴史を持った国です。日本の文明が決して過去の栄光ではなく、未来に繋がっているという点に、我々は関心を寄せています。

我々が製作した別のドキュメンタリーが改めて公開される際に、再び皆様にお目にかかれることを楽しみにしております。本日はどうもありがとうございました。

アフマド・マフフーズ氏の略歴

1970年、エジプトのカイロ生まれ。カイロ大学で法律を学んだ後、エジプト芸術高等学院で映画研究を志し、1995年に卒業。同国内でテレビドラマ製作等に関わった後、2003年にエジプト文化省の映画技術部長。2005年からアルジャジーラ・ネットワークにてドキュメンタリー番組ディレクター、2008年からアルジャジーラ・ドキュメンタリー・チャンネル最高経営責任者。ディレクターとして代表作にドキュメンタリー・シリーズ『政治イスラムの歴史』(全18回、アルジャジーラ)等。